クリエイティブディレクター
鈴木.N Suzuki.N(2024年入社)
クリエイティブディレクター
/グラフィックデザイナー
岡田 Okada(2013年入社)
JOETSUグループで求められているデザインとは
求められているデザインとは
ロジックも直感も両方活かす
仕事をしていてよく思うのは、共感があって発見があるものじゃないとお客様が喜んでくれないということ。共感はするけど発見がないのは、「それはそうだよね」って誰もが思うものです。「常識」という言葉に言い換えられますが、それにお金を払おうとは思わない。これに対して「そう言われてみると、そうだよね」って発見が加わると、自分たちでも気づいていなかったものを見せてくれたという受け取り方になります。そこには付加価値があって「自分達はこんなイメージだったんだ。これを伝えたかったんだ」とお客様がワクワクする。
共感があって発見があるということは、インサイトを捉えているということ。そこを探すためによく観察して、本質を捉える。本質=インサイト=本音の部分はそこなんだ。そう思いませんか?
そうですね。だからおそらくビッグデータだけでは正解に辿り着けないし、かといって自分の消費者目線だけでもいけない。その点で僕がデザインしていて楽しいのは、ロジックも直感も両方活かせる点ですね。
色々活かさないとダメですよね。左脳と右脳の話。左脳で論理的に情報を整理しないといけないし、右脳で直感を働かせないといけない。両方を行ったり来たりさせることが、僕らの職業の重要なポイントです。世の中と接点がある仕事をしている時点で左脳を使うことが大事なのですが、左脳の部分を意識していないデザイナーが多い気がします。それだと自分視点だけになってしまう。多様な視点を持つのは、右脳だけじゃなくて左脳を機能させているということだから。
世の中にUI/UXのデザイナーが増え、協業していく必要がある。そうした時に、デザイナーにおいても言語化の必要性が高まって来ています。
単に「どうでしょう、いいでしょう」と独善的に言うだけでは、物事の本質的な意味や価値を伝えることはできません。また、デザインの本質は単に役に立つということだけでなく、新しい意味を創造することにあります。そのために、リサーチによるバックグラウンドの理解や、ターゲットへの深い洞察が不可欠です。新しい発見や意味の創造こそが、さまざまなものの価値を高めていくことにつながると考えています。
デザイナーに向いている人はどんな人?
色々なことに興味がある人じゃないかな。それで、自分がこの仕事に携わることで世の中を良くするということに共感できるかどうか。多種多様な客観的な視点を持って、自己表現に偏ることなく、世の中を良くすることに結びつけることが重要。そうでなければ、この職業は長続きしないと思う。
まさに共感という部分はとても大事だと思います。自分で言うのもあれですけど、僕はどちらかというと繊細な人なんですよね。とても共感してしまって悩んだ時もありますが、それを活かせる職業であることは確かです。共感したものに対して、客観的にロジカルに考えられるかどうかが、この仕事をする上でのポイントかと思います。
あと、コツコツできる人。毎日の仕事自体は地味だから。一つ一つの小さな作業が何かの役に立つ、意味を作ることに繋がっていると理解できる人は、この職業に向いていると思います。あと、僕がよく言うのは献身的になれる人。自分の作品を作っているわけではなくて、お客様に寄り添わなきゃいけない仕事だから、そこに喜びがない人は続けにくいんじゃないかな。
技術的な部分も非常に大事です。技術力が高いと、お客様との対話の際に完成予想図を迅速に可視化できると思う。経営者が「具体的にはわからないけれど、こんな雰囲気で」とお話しされた段階で、僕らは頭の中でそれを可視化して、ビジュアルとしてつくったらこうじゃないですかって見せることができるでしょう。それはデザイナーの強みですよね。
そういう意味で、デザインというものがもっと開かれるべきだと思いますね。形にする技術はとても大事。岡田さんもそうだと思いますけど、学生時代にデッサンしてきたじゃないですか。それは観察力を鍛えるための時間ですよね。手を描けって言われて、一番最初に描くのはこの5本の指です。ただ、これを見続けていると皺が見えてきて、奥の血管も見えてきて、ついには骨を感じるところまでくる。それが観察力だと思っています。
この対象を手ではなくて人に変えてみましょう。人と話している時に、「今ちょっと目が開いたな」とか、「この質問に対して思うところがありそうだな」みたいなことに気付けるかどうか、そこが大事です。コミュニケーションの仕方にこだわりがあったり、人と対峙する時に好き嫌いがはっきりしていたりする人は、意外とコミュニケーションの設計をするのに向いているんじゃないかと僕は思います。
最後に、学生に一言
学生にというか過去の自分に言いたいことですが、とにかく没頭する時間がすごく大事だなと。
何かを追求しない限り見えてこないものがありますからね。
あと、たくさん失敗して欲しいです。失敗から新たな価値は生まれるから。
QCDFって言葉がありますよね。開発生産業務の進行時に重視されるQuality(品質)、Cost(価格)、Delivery(納期)、Flexibility(柔軟性)の頭文字をとったものですが、その中でも特に大事なのはFlexibility(柔軟性)。失敗したことに対して、前はこの状況で失敗したから先回りして対処しようとか、これはうまくいかなかったけど次挽回すれば大丈夫だとか、考える。失敗したことで学ぶことが多いんですよ。
そもそも、デザイン経営を実践する組織に必要な要素として「失敗を歓迎できるか」があります。これはデザイン経営をする組織にとって重要な要素ですが、デザインするプロセスとしても「失敗を重ねること」は重要ですね。もちろん、失敗してやめないことも大事。観察して、トライして、振り返り、またチャレンジするという流れを続けて欲しいです。
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